映画「私は貝になりたい」
今回は映画のお話を一つ。
映画鑑賞なんてのも趣味の一つでありましてね。
邦画、洋画と色んな映画を見るのが楽しみになっています。
映画に没頭している時間は、いやなことなんかも忘れられる。
非日常の世界へ没入したり、ノンフィクションを見て知識を得たり。
映画のジャンルにより受ける恩恵も様々であります。
今回はその映画の中から2008年日本制作の「私は貝になりたい」という映画を。
元は旧大日本帝国陸軍中尉がしたためた手記。
それがテレビドラマ化されたり、今回のように映画化された作品です。
内容は少し重めとなっていますね。
映画概要
タイトル:私は貝になりたい
ジャンル:歴史
制 作:日本
監 督:福澤克陽
主 演:中居正広
出 演:仲間由紀恵、石坂浩二、西村雅彦、平田満、武田鉄矢、伊武雅刀、名高達男、六平直正、梶原善、泉ピン子、片山愛之助、草彅剛、笑福亭鶴瓶、上川隆也 他
音 楽:久石譲
公 開:2008年11月22日
主演は当時SMAPのリーダーをしていた中居正広さん。
同じSMAPから草彅剛さんも出演されています。
こうしてみると、出演俳優陣もかなり豪華でありますね~。
音楽はジブリ作品でも有名な久石譲さんが手がけておられます。
あらすじ
昭和19年頃。
戦時下の高知で理髪店を営む清水豊松は、妻の房江と一人息子の健一と3人でささやかに暮らしていた。
しかし戦争は激しさを増し、豊松にも召集令状が届く。
内地の部隊に配属された豊松は、ある日、捕虜の処刑を命じられる。
豊松はひるんだが、上官たちに激しく叱咤され、夢中で銃剣を突き出した。
戦後、復員して再び平和に暮らす豊松のもとに占領軍のMPが訪れる。
捕虜を殺害した先般の容疑で豊松を逮捕しに来たのだ。
健一と第二子を身ごもっている房江を残して、東京の巣鴨プリズンに収監された豊松は、占領軍による裁判の法廷に被告として立たされる・・・。
テレビ草創期の名作ドラマを名脚本家・橋本忍が自ら完全版として改訂。
久石譲の雄大な音楽と四季折々の美しい日本の風景の中で、中居正広、仲間由紀恵ら最高のキャストが、夫婦の感動のドラマを謳い上げる。
舞台は第二次世界大戦末期~戦後直後
昭和19年という設定からわかる通り、当時の日本は「第二次世界大戦」真っただ中。
日本は「大日本帝国」と称し、陸軍・海軍の戦力でアメリカ、イギリス、オーストラリアなど欧米各国と戦争をしたいたのでした。
戦争開始序盤は攻勢を掛け連勝連戦、破竹の勢いで進撃した大日本帝国。
しかし時が経つにつれてその勢いを失い、次第に劣勢に追い込まれて行ってしまいました。
戦争が劣勢になっていた昭和19年、今回の主人公である清水豊松もこの戦争へと召集され、戦地に赴くことに。
当時の日本の軍隊では「上官の命令は絶対」であり「上官の言葉は天皇陛下のお言葉である」とまで言われていたのだとか。
戦地で捕らえたアメリカ兵の処遇を巡り、日本のとある部隊が処刑を敢行することになるのでした。
B級・C級戦犯の悲劇
私は貝になりたいの見どころは、やはりB級・C級戦犯の悲劇を描いているところではないでしょうか。
戦争という狂った日常の中で、上官の命令でしたこと。
それで上官が処刑されるのであればまだ話は分かりますが、末端の兵士に至るまでそれが問われるのはちょっと酷でありますよね。
この裁判は戦後処理の一つとして「東京裁判」の名で知られています。
戦時中首相を務めていたかの「東条英機」さんがA級戦犯として裁かれたことは有名。
戦勝国が主体となって開かれた裁判であり、敗戦国のみが一方的に裁かれ、日本語が通用せず適当に処理されてしまったともいわれます。
戦犯にされた男と家族の絆
ある日突然、戦犯として逮捕されてしまった主人公。
残された家族はあっけにとられます。
そして当然ながら主人公を何とか出獄させようと八方手を尽くすことに。
署名を集めたり、面会に行ったり。
面会や手紙などのやり取りは当時も認められていたようですね。
授かった新しい命と元上官たちとの軋轢。
様々な人間模様が描かれている作品でもあります。
東京裁判ではアメリカの罪は裁かれていない
今回の映画は東京裁判を描いている作品ともいえるのですが、作中でもこんな表現があります。
「日本の民間人も対象とする各都市への無差別絨毯爆撃」「新型爆弾(原子爆弾の事)による民間人の大量殺戮」
これらは完全なる国際法違反であり、裁かれるべき罪である。
元大日本帝国陸軍中将が最期に放った言葉。
敗戦国である日本だけが一方的に裁かれた東京裁判。
それに一石を投じる場面でもありました。
戦争とはやっているときも嫌なものでありますが、こうした戦後処理を見てみても中々胸糞悪いものでありますね。
今の日本に平和があること、これは素晴らしいことだと思いますし、いい時代に生まれたものだと思う自分がいます。
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